「介護タクシーで叶える、患者さんの退院や旅行の願い」を専門家が解説!

介護タクシーを実際にご利用いただいた患者様やそのご家族からは、次のようなお声をよくいただきます。

「こんな便利なタクシーがあるなんて、今まで知らなかった。もっと早くから利用したかった。」

2020年以降のコロナ禍を経て、生活習慣や価値観が大きく変化した方も多いのではないでしょうか。その影響は介護タクシー業界にも及び、利用者のニーズにも変化が見られるようになりました。

この記事では、静岡県熱海市で11年間、介護タクシー事業を運営してきた経験をもとに、コロナ禍以降増えた介護タクシーの利用傾向について、以下の3つの主な依頼内容を中心に解説いたします。

介護タクシーの利用を検討されている方や、業界の動向に関心のある方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

もくじ

終末期を家族と共に家で過ごすための退院支援

コロナ禍において、多くの医療機関で入院中の患者の面会が大きく制限されました。

人生の最後の時間(終末期)を家族と共に過ごせず、一人、病院で迎えることに心を痛めるご家族が増えました。

在宅で医療を受けることもできる

近年、訪問看護や訪問診療をはじめとするサービスを利用することで、在宅で医療を受けることが可能となっています。

このため、ケアマネジャーが在宅介護の環境整備を行い、在宅医や訪問看護師に介入してもらうよう調整し、退院する方が増えています。

本来であれば医療機関に入院し、常に医療従事者が側にいることが望ましい患者様もいらっしゃいます。

例えば、移動中に医療用酸素が必要な方や痰の吸引や点滴が継続的に必要な方。でもそんな方々も、自宅での生活を選ばれることがあります。

また、ご自宅の住環境もさまざまであり、病院や施設のようにストレッチャーでそのままベッドサイドまで行ける環境はほとんどありません。

例えば、1階が店舗で自営業をされていて2階がご自宅という環境や、急坂や階段があるご自宅も多く、家の作りは十人十色です。

このようなケースでは、患者等搬送事業の認定を受けている事業者の中で、看護師が常駐している事業者に依頼することで、より安心して在宅で過ごすことができると考えます。

終末期の旅行支援

コロナ禍において、老若男女問わず全ての人の外出が制限されました。

旅行も控えよう、来年まで我慢しよう。そんな風潮で旅行を控えた方も多かったことと思います。

ですが、終末期の患者様やご家族にとっては、来年のことを考える余裕などありません。

終末期を在宅で過ごす患者さんが増えると共に、人生最期の旅行に行きたい、と思う患者さん、そして、そんな患者さんの願いを叶えたいと、旅行に対して安全に配慮をした上で許可を出してくださる医師も増えて来ました。

旅は人を元気にする力がある

当社が営業所を置く静岡県熱海市は観光で有名な街ですので、コロナ禍でも人生最期の旅行で訪れた方が何人かいらっしゃいます。

患者様の地元の医療機関や訪問看護師、ケアマネジャーなどと情報共有し、旅行先で安全安心して過ごせるように努めました。

温泉に入りたい、海岸に行きたい。どうすれば安全に実現する事が出来るか、各専門職が知恵を出し合って実現してきました。

中には旅行先に同行してくださった医師もいらっしゃいます。

どの患者様も、旅行前は不安な気持ちで一杯だったはずですが、帰る頃には元気になり、「来週また来るから。」と言って帰っていきました。旅は人を元気にする力があると実感しています。

呼び寄せ介護

コロナ禍において、都道府県境をまたいでの移動が制限されたこともあり、高齢の親と離れて暮らしている息子さん、娘さんが、親の事が心配で息子さん、娘さんの自宅に呼び寄せるケースや、ご自宅近くの施設に入所の手配をするケースが増えました。

実際に当社で対応したケースでは静岡県から東京や千葉、埼玉県までは何度も行っていますし、愛知県まで行ったケースもあります。

連携搬送で、行動範囲を広げられる

更に遠く福岡県まで行ったことがあります。福岡県まで移動したケースでは、新幹線を経由した連携搬送により実現させました。

ご自宅から熱海駅までは当社の車両で搬送し、熱海駅から博多駅までは、当社の看護師が付添いました。

そして博多駅には、当社で連携をお願いした事業者にお迎えに来て頂き、最終的な目的地まで送って頂きました。

連携搬送は新幹線などの陸路だけではありません。当社が営業所を置く静岡県熱海市は、大島や初島といった離島からフェリーで結ばれています。

その為、大島や初島から来る患者様や観光客を連携搬送することも多くありますし、飛行機を経由した連携搬送で、更に遠方や海外までの連携搬送を実現させる場合もあります。

今は日本全国にこのような連携搬送に慣れている事業者が多くあります。連携搬送を利用すれば移動にかかる費用と移動時間が抑えられますし、日常的に外出が難しい方であっても、更に行動範囲が広がります。

まとめ

介護タクシーは、所轄の運輸局から認可を受けており、一般タクシーと救急車の中間的存在として、一般タクシーやご家族の介助では移動が難しい方の移動を支える存在であること、そして、介護タクシーの事業許可に加えて訪問介護や介護保険外サービス、患者等搬送事業の認定を受けるなど、利便性を高めている事業者もある事がお分かりいただけたかと思います。

ひとくくりに介護タクシーと言っても、このように得意分野が様々です。

  • 買い物や美容院など、日常的な外出を得意としている事業者
  • 旅行や観光の同行を得意としている事業者
  • 透析の通院などを得意としている事業者
  • 酸素投与や喀痰吸引など医療行為を継続しながらの搬送を得意としている事業者、など

介護タクシーを実際に利用する際は、それぞれの事業者の特徴を良く聞いたり、調べたり、概算金額を聞くなどの上でご利用するのが良いと思います。

特に医療行為を継続しながらの移動の場合は、患者等搬送事業の認定を受けていて、看護師が常駐している事は患者様の安全を確保する上で最低条件となります。

コロナ禍以降、全国的に経験豊富な介護福祉士、看護師、救急救命士の国家資格を持った方の起業が増えています。

外出に困っている人を助けたい。そんな思いを持ち、各地で活躍されています。

私たちは、そのような各地の同業者とSNSなどを通じて情報共有することで、サービスの質の向上に努めています。

そのおかげで新幹線や船を経由した連携搬送でも、円滑で安全に行うことが出来ています。日常的に病院に入院中または在宅療養している患者様にとって、外出は生きる希望となります。

わたしたち、介護タクシー事業者の事を広く知っていただくことで、外出を諦めることなく、希望につながり、生きる活力になれば幸いです。最後までお読みくださって、ありがとうございました。

株式会社伊豆おはな

静岡県熱海市伊豆山342-3

電話:0557-88-6010

静岡県熱海市においては、唯一の介護保険適用(訪問介護事業所)であり、熱海市消防本部認定第1号患者等搬送事業者。介護福祉士ドライバー1名と看護師ドライバー1名が常勤で在籍、非常勤で看護師が2名在籍している。地形的に坂と階段が多く、高齢化率が5割に迫る熱海市において、地域住民の定期的な通院、入退院や転院など、医療機関への送迎はもちろん、観光地熱海の特色を生かしたユニバーサルツーリズムにも力を入れており、年間約3,000件の搬送を行っている。

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この記事を書いた人

河瀬 豊のアバター 河瀬 豊 株式会社伊豆おはな 代表取締役

1970年1月1日生まれ、東京都杉並区出身、静岡県熱海市在住。
10歳の時に沸かし過ぎてしまった自宅の風呂に転落、全身70%の熱傷で約1年間の入院生活を送る。その時の、外出したくても外出出来なかった経験を忘れることはなく、観光と週末移住で訪れた静岡県熱海市が抱える地域課題、坂と階段が多く、高齢化率が高い為に外出困難者が多いことを知り、その地域課題を解決すべく43才の時に東京から静岡県熱海市に移住。
看護師の妻と共に株式会社伊豆おはなを創業、代表取締役に就任。
主な資格は、中型自動車第二種運転免許、介護福祉士、患者等搬送乗務員、運行管理者(旅客)、国内旅行業務取扱管理者

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