これから介護を受ける方向けに、介護を始めるまでによくある悩みや質問についてお答えしています。
親が高齢になり、介護が必要かもしれません。相談は誰にしたらよいですか?
「介護が必要」になる背景や原因は様々ですが、多くは加齢や病気のために身体や認知機能が低下することで、意識されるようになります。
原因が「病気」の場合、通院・入院されている医療機関の医師(かかりつけ医・担当医)や看護師、ソーシャルワーカーのいる相談室で相談します。
通院されている医療機関がない場合(かかりつけ医がいない場合)は、「介護が必要」となる背景に病気の存在がないかを確認するため、医療機関を受診してください。
教えて!ドクター
介護保険ってそもそも何ですか?医療保険と違うの?
病院やクリニック、薬局を受診する際、マイナンバーカード(保険証)を提示すると、支払う費用は、3割~1割となります(医療保険)。
一方、「介護保険」を利用して介護サービスを利用する場合には、自分達で市区町村に申請し、「介護が必要な状態」と認定される必要があります。
皆保険制度である日本は、全ての国民が医療保険に加入していますが、介護保険では申請・認定されないと保険が使用できない点が医療保険と異なります。
申請すると、「非該当(介護保険が必要な状態ではない)」もしくは「要支援1~要介護5」までのいずれかに認定されます。
教えて!ドクター
介護保険の申請はどこにすればいいのでしょうか?
介護保険の申請は、利用される方がお住まいの地域の「地域包括支援センター」で行いますが、市区町村によって窓口や担当部署が異なるので、事前に電話などで確認しましょう。
その他、身近に介護支援専門員(ケアマネジャー:ケアマネ)の方がいれば、相談することも可能です。
申請すると、主治医が書類の記載をすることになるため、あらかじめ通院・入院されている医療機関の先生に、介護保険を申請することを伝えておきましょう。
教えて!ドクター
地域包括支援センターとは何ですか?
地域包括支援センターとは、介護・医療・保険・福祉などの側面から高齢者を支える『総合相談窓口』です。
専門知識をもった職員が、高齢者が住み慣れた地域で生活できるように介護に関する相談に応じており、介護保険の申請窓口の役割も担っています。
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介護保険を申請した後は、どうなるの?
介護保険が申請されると、市区町村は主治医に「主治医意見書」の発行を依頼します。
また調査員が、本人の状態を確認するため訪問し、本人や家族と面接しながら1時間程の聞き取り調査が行われます。
介護保険の認定にあたっては、主治医が記載する「主治医意見書」と「調査員による訪問調査」の2つの情報を元に審査が進められ、これらの情報を元にコンピュータが自動判定(一次判定)します。
その後、一次判定の結果の整合性を介護認定審査会で判定され、最終的に介護度が決定します。
教えて!ドクター
介護保険の申請から認定までどれくらい時間がかかる?その間は、介護サービスは使えないの?
通常、介護認定の申請から結果通知までは30日程度要しますが、主治医意見書や認定調査の日程が遅れると、地域によっては、申請から判定まで2ヶ月かかる場合もあります。
認定されるまで介護サービスが使えないわけではなく、申請中の段階でも、一部のサービスは、介護保険を利用して使用することが可能です。
使用に際しては、暫定(ざんてい)ケアプランの作成が必要になりますので、詳しくは、ケアマネに相談しましょう。
教えて!ドクター
介護認定されたので、サービスを利用したいのですが、どうすればよいですか?
介護保険を利用して介護サービスを受ける場合、ケアプラン(介護(介護予防)サービス計画書)の作成が必要です。
介護支援専門員(ケアマネジャー:ケアマネ)は、ケアプランを作成する担当者です。
「要支援」の方は、地域包括支援センターに在籍するケアマネ、「要介護」の方は市区町村の指定を受けた居宅介護支援事業者に在籍するケアマネが担当します。
その他、利用者や家族が自らで作成する「セルフケアプラン」という制度もあります。
教えて!ドクター
ケアプランはケアマネに依頼せず、ご自身で作成できます。これは「セルフケアプラン」と呼び、詳しくは「居宅サービス計画の自己作成(セルフケアプラン)をやってみた感想とメリット・デメリット」という記事で体験談を含めて解説しています。
ケアマネを見つけるにはどうしたらよいですか?
介護サービスの計画から業者の手配まで、ほぼ全てがケアマネを介して行われます。
①要支援の方
「要支援」の方は、地域包括支援センターに在籍するケアマネがケアプランの作成を担当しますので、地域包括支援センターで相談します。
②要介護の方
「要介護」の方は市区町村の指定を受けた居宅介護支援事業所(ケアプランセンターという名称の事もあります)に在籍するケアマネが担当します。
どこに事業所があるかは、地域包括支援センターでリスト(例:ハートページ)をもらうことができる他、厚生労働省のホームページから探すこともできます。
東京都の場合は、以下のように検索できます。
ハートページをみて直接依頼することもできますし、地域包括支援センターに「自宅の近くで」「医療の連携がスムーズ」といった要望を伝えれば、条件に合う事業所を教えてくれます。
その他、かかりつけ医に相談し、医療との連携が得意なケアマネを紹介してもらう、同じ地域で実際に介護サービスを利用している人たちの口コミを参考にする、友人や知人に介護業界で働いている人がいたら、ケアマネ選びのポイントを聞くのも参考になります。
教えて!ドクター
介護度はどう分かれているの?
介護度は、自立(非該当)、要支援1,2 要介護1,2,3,4,5の8つの区分に分けられています。
主に介護にかかる時間(手間)により判定され、要支援は、要介護になることを予防する時期と言われるため、要支援者が利用できるサービスは介護予防サービスと呼ばれます。
各区分により、使用できる支給限度額(1ヶ月あたり)が異なってきます。
介護認定 | 1ヶ月の支給限度単位 | 介護に要する時間 | イメージ(例) |
---|---|---|---|
自立(非該当) | ー | 25分未満 | 自立している |
要支援1 | 5,032単位 | 25分以上32分未満 | 日常生活がほぼ自分でできるが、掃除や着替えをするのに支援が必要 |
要支援2 | 10,531単位 | 32分以上50分未満 | トイレや食事は自分でできるが、立ち上がりや歩行でふらつく。入浴で背中が洗えない。 |
要介護1 | 16,765単位 | 要支援2の身体機能に認知機能の低下が加わる。 | |
要介護2 | 19,705単位 | 50分以上70分未満 | 一人で立ち上がったり歩くのは難しい トイレや食事をするのに一部介助が必要 |
要介護3 | 27,048単位 | 70分以上90分未満 | トイレや食事は自分一人ではできない。認知機能の低下も著しい。 |
要介護4 | 30,938単位 | 90分以上110分未満 | ベッドと車椅子間での生活 |
要介護5 | 36,217単位 | 110分以上 | 寝たきりの状態で意思疎通も難しい |
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必要な介護サービスはどうやって決まっていくの?
介護保険で使用できる介護サービスは様々ですが、利用者さんの介護度や病状によって保険の適応にならないサービスもあります。
多くの場合は、ケアマネと相談をしながら必要なサービスを決めていきます。
実際の流れ
- ケアマネと面談し、どんな生活を望んでいるか?そのために必要なことは何か?何に困っているのか?をはっきりと明確にします。
- これらの情報をもとに、ケアマネは必要な介護サービスを利用者や家族に提案してくれます。
- 提案されたサービス内容でOKと思ったら、ケアマネにこれらの介護サービスを提供する業者を探してもらいます。
- 事業所が見つかったら、介護サービスの種類、内容、利用回数、時間、利用料金などをまとめてもらいます(ケアプランの原案を作成してもらう)。
- ケアプランがまとまったら、サービス担当者会議が開かれます(ご本人・ご家族、ケアマネと介護サービスを提供する業者をはじめ、関係者を集めた会議)。
- 担当者会議でケアプランに本人や家族の意向に間違えがないことを確認したら、本人・家族が同意してケアプランが確定されます。
- ケアプランの確定後、各サービスを提供する業者と契約をしてサービスが開始されます。
- 担当者会議でケアプランを完成させ、本人・家族が同意してケアプランが確定されます。
- ケアプランの確定後、利用者は各サービスを提供する業者と契約をしてサービスが開始されます。
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