介護度はどう分かれているの?要支援1・2、要介護1〜5を医師が解説

要介護度は、心身の状態に応じて、要支援1~2と要介護1~5と7段階に分けられています。数字が大きくなるほどより多くの介護が必要となります。

もくじ

要支援1・2

要支援1とは?

介護を必要とするための時間:25分〜32分

  • 日常生活の基本的なこと(排泄や食事)は自分ひとりで対応できる
  • 立ち上がる際に補助が必要
  • 居室の掃除や着替えといった複雑な動作で介助が必要

自立されている方(非該当)と要支援1の方の違いは、日常生活動作に関する事項となります。

自立の方は、歩行や起き上がり、薬の内服や電話の利用など生活動作を自力で行えますが、要支援状態の場合はなんらかのサポートが必要となります。

要支援2

介護を必要とするための時間:32分〜50分

  • 日常生活の基本的なこと(排泄や食事)は自分ひとりで対応できる
  • 身だしなみや居室の掃除や着替えといった複雑な動作で介助が必要
  • 立ち上がりや歩行などでふらつき、何らかの支えを必要とすることがある。
  • 入浴で背中が洗えない

要支援1と要支援2はいずれも、食事や排泄などの行為を自分で行えますが、要支援1と比較して、要支援2の方が身体機能の低下がみられます。

要介護1〜5

要介護1

介護を必要とするための時間:32分〜50分

基本的に日常生活は自分で送れるものの、要支援2よりも身体能力や思考力の低下がみられ、日常的に介助を必要とする状態です。

介護を必要とするための時間は、要支援2と同様ですが、要支援2と要介護1は「認知機能の状態」「介護が必要となった状態の不安定さ」で区分されています。

要支援2では認知機能の低下は見られず、適切なサポートを受ければ要介護状態への進行を予防できる、と考えられていますが、認知機能が低下し、要支援状態への回復は難しいと判断される場合には、要介護1の認定となります。

また概ね6か月以内に心身の状態が悪化し、介護の手間が増大し要介護度の再検討の必要になると判断された場合には、要介護1の認定となります。

例えば、末期の癌に罹患している場合、申請時点では、ある程度自立されていても、今後病状が進行していくと共に必要な介護サービスが週単位で増えていく可能性があります。このような場合には、「不安定」と判断され、要介護1となります。

https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/dl/text2009_4_5.pdfより)

要介護2

介護を必要とするための時間:50分〜70分

  • 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする。
  • 自力での歩行が難しく、着替えなどの日常生活動作にも介助が必要。
  • 食事や排泄、入浴など日常生活の多くの場面で介助が必要な状態
  • 理解力や思考力、等認知機能の低下がみられる。

要介護2では、食事や排泄、入浴など日常生活の多くの場面で介助が必要な状態です。要介護1ではほとんどサポートがいらなかった身の回りのことにも、手助けが必要となります。

要介護3

介護を必要とするための時間:70分〜90分

  • 食事や排泄などほとんどの日常生活動作に介助を要し、自分ひとりではできない。
  • 歩行や両足での立位保持などの移動の動作も自分ひとりでできない。
  • いくつかの不安行動や全般的な理解の低下がみられる。

要介護2は部分的な介助により食事や排泄などができていたものの、要介護3では身体機能の低下が顕著にみられ、全面的な介助が必要になります。また、理解力に関しても、要介護2に比べて著しく低下します。

要介護4

介護を必要とするための時間:90分〜110分            

要介護4になると、人の手を借りずに自分だけで日常生活を送ることが難しく、常時介護が必要な状態となります。

要介護3でも生活全般に支援が必要ですが、要介護4になると昼夜を問わず常に介助が必要な状態となります。

要介護4・5のどちらも、自力で起き上がることや移動することはできず、ほとんど寝たきりの状態となりますが、要介護4だとわずかに自分でできることがあるのに対し、要介護5は難しくなります。

要介護5

介護を必要とするための時間:110分以上

要介護5は、ほとんど寝たきりの状態となり、日常生活すべてにおいて介助が必要で、意思疎通がも困難となります。

介護や医療ケアにかかる時間も要介護4に比べ長くなります。

2022(令和4)年の厚生労働省の調査によると、要介護5になる主な原因は1位「脳血管疾患(脳卒中)」26.3%、2位「認知症」23.1%と報告されています。

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この記事を書いた人

安藤 克利のアバター 安藤 克利 代表取締役

2006年に東京慈恵会医科大学を卒業後、東京厚生年金病院(現JCHO東京新宿メディカルセンター)、亀田総合病院で初期・後期研修。研修中に米国医師臨床研修資格(ECFMG)を取得。取得の経験をもとに「やさしい英語で外来診療」を執筆。
2011年より順天堂大学呼吸器内科。基礎・臨床研究に携わり、2017年までに筆頭著者として英語論文20編、日本語論文17編を発表。
2017年に中外製薬株式会社に入社。MDとして製薬企業で薬の開発に携わった経験をもとに「そうだったのか!臨床試験のしくみと実務」を執筆。
2018年に目黒ケイホームクリニックを開業し、現在、呼吸器内科医・在宅医として臨床・研究を行っている。

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