緑膿菌性肺炎を繰り返す在宅患者に関する症例報告が、海外誌に掲載されました。

緑膿菌性肺炎を繰り返す在宅患者に関する症例報告「Intravenous Tobramycin Inhalation for Patients with Advanced Bronchiectasis With Pseudomonas Aeruginosa Infection in Home Medical Care: A Report of Two Cases」が、海外誌Cureous(Impact factor 1.2)に掲載されましたのでご報告申し上げます。

気管支拡張症は、繰り返す緑膿菌性肺炎が問題になります。

1例目の症例は、年に2-3回入院され、通院困難となり我々の在宅医療が介入開始となりました。

在宅医療現場では入院のように簡単に点滴を繰り返すことができないため、過去に報告されていた点滴用トブラマイシンの吸入を行うこととしました(内服抗菌薬であるレボフロキサシン(LVFX)が耐性化し、点滴は経済的側面から困難であったため、他に選択肢がなかったことが背景にあります)。

一方、病院での症例報告はありましたが、在宅では点滴用アンプルから薬液を抽出することが問題となります。我々は、空の目薬の容器を用いることでこのハードルをクリアし、一例目では我々が介入後、2年近く入院を避けることが可能となりました。

1例目を参考に、2例目でも同様の介入を行い、肺炎でのLVFX内服を一定期間控えることができるようになりました。

引き続き、呼吸器疾患、在宅医療の診療向上に向けた取り組みを行ってまいります。

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この記事を書いた人

安藤 克利のアバター 安藤 克利 代表取締役

2006年に東京慈恵会医科大学を卒業後、東京厚生年金病院(現JCHO東京新宿メディカルセンター)、亀田総合病院で初期・後期研修。研修中に米国医師臨床研修資格(ECFMG)を取得。取得の経験をもとに「やさしい英語で外来診療」を執筆。
2011年より順天堂大学呼吸器内科。基礎・臨床研究に携わり、2017年までに筆頭著者として英語論文20編、日本語論文17編を発表。
2017年に中外製薬株式会社に入社。MDとして製薬企業で薬の開発に携わった経験をもとに「そうだったのか!臨床試験のしくみと実務」を執筆。
2018年に目黒ケイホームクリニックを開業し、現在、呼吸器内科医・在宅医として臨床・研究を行っている。

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