知らないうちに進む「低栄養」に気づくために ― 家庭で使える栄養チェックツール ―

前回のコラム「栄養補助食品の種類・効果的な活用法」では、食事量が減ってきたときに栄養を補う方法についてご紹介しました。

しかし実際には、「自分(親)が低栄養かもしれない」と気づかないまま生活されている方も少なくありません。

  • 体重が少し減っただけ
  • 食事量が少し減っただけ

こうした小さな変化を見過ごすことで、知らないうちに筋力や体力が低下し、転倒や介護が必要な状態につながってしまうことがあります。

本コラムでは、ご自身やご家族の栄養状態に気づくためのヒントとして、家庭で簡単にできるチェック方法をご紹介します。

もくじ

そもそも「低栄養」とは?

低栄養とは、単に痩せていることではなく、体に必要なエネルギーやたんぱく質、ビタミンなどの栄養素が不足している状態を指します。

特に高齢の方の場合、低栄養は次のような深刻な問題と深く関係しています。

  • フレイル(虚弱): 心身の活力が低下した状態
  • サルコペニア: 筋肉量が極端に減少すること
  • 要介護状態への進行

なぜ高齢者は低栄養になりやすいの?

主な理由として、次のような年齢に伴う変化が挙げられます。

  • 食欲の低下
  • 噛む力・飲み込む力の低下
  • 独居による食事内容の偏り
  • 病気や薬の影響

その結果、体を動かすためのエネルギーや、筋肉を維持するために重要な「たんぱく質」が不足しやすくなります。

低栄養を放置するとどうなる?(負の連鎖)

低栄養の状態が続くと、体の中で次のような悪循環が起こりやすくなります。

  1. 筋力が低下し、転倒・骨折のリスクが増える
  2. 免疫力が低下し、感染症が重症化しやすくなる
  3. 傷や病気からの回復が遅れる
  4. 動くのが億劫になり活動量が減る → お腹が空かない → さらに低栄養になる

これらは、介護が必要になる大きな原因のひとつです。

見逃さないで!「低栄養」のサイン

低栄養は、急に悪くなるのではなく、少しずつ進行するのが特徴です。そのため、「年のせいかな?」と見過ごされてしまいがちです。

次のような変化がないか、チェックしてみましょう。

  • 最近、疲れやすくなった
  • 体重が少し減ってきた
  • 歩くのが遅くなった
  • 食事の量が減った
  • 服や指輪がゆるくなった

これらは単なる老化ではなく、栄養不足のサインである可能性があります。

自宅でできる「栄養チェックツール」

現在は、自宅で簡単にリスクを確認できるチェックツールが公開されています。質問に答えるだけで、客観的に栄養状態を把握できます。

① CNAQ(老年期栄養リスク指数)

食欲や体重減少などの項目をもとに、栄養状態のリスクを評価します。 特に「食欲の低下」に早期に気づくために役立ちます。

② MNA®(高齢者栄養評価)

世界中の医療・介護現場で使用されている評価法です。以下のような項目から総合的に評価します。

  • 体重変化
  • 食欲
  • 活動量
  • 身体機能
  • 精神状態

結果は「栄養状態良好」「低栄養のリスクあり」「低栄養の可能性」の3段階で判定されます。

※参考:ネスレ ヘルスサイエンス公表のMNA® などで確認可能です。

まとめ 〜気になったら早めの相談を〜

低栄養は、早く気づくことで予防や改善が可能です。

チェックツールは診断ではありませんが、相談のきっかけになります。「少し食事量が減ったかも」「体重が減ってきたかも」という小さな変化を見逃さないでください。

気になる結果が出た場合は、一人で悩まずに専門職へ相談しましょう。

  • かかりつけ医
  • 管理栄養士
  • 地域包括支援センター
  • ケアマネジャー

早期の気づきが、いつまでも健康な在宅生活を続けるための第一歩になります。

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この記事を書いた人

2012年、管理栄養士免許取得。
病院、透析クリニック、等で経験を積み、2021年在宅訪問管理栄養士の資格を取得。現在、フリーランスに転身し、在宅での訪問栄養食事指導の他、企業やクリニックで生活習慣病を含めた慢性疾患に対する栄養相談・指導も行っている。

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