入浴介助をもっと楽に!活用したい道具と知っておきたい知識と注意点

「入浴の介助が本当に大変」在宅介護の中でも特に入浴介助は負担の大きいものとしてよくあがります。

ですが、適切な準備と工夫をすることで、より安全でスムーズに介助を行うことも可能です。今回は、ご家庭でできる入浴介助の知識と注意点についてご紹介します。

もくじ

入浴介助するときに知っておきたい用語知識

ここでは3つの用語を簡単にご紹介します。知ってるいるのと知らないのとで、負担は大きくも小さくもなります。

『脱健着患(だっけんちゃっかん)』

衣服の着脱の順を覚えるために使われている言葉です。

脱ぐのは健康な部位から、着るのは動かしづらい部位からと覚えるといいです。体の片側が硬くなってしまっている方などに有効な方法となります。

『ボディメカニクス』

介助者側の体の使い方の名称です。

重心は低く、要介護者と重心を近づける、テコの原理を使う、大きな筋群(筋肉)を使う、などここでは簡単な説明としますが介助する側、される側に負担の少ない方法で介助ができます。

『残存機能の活用』

要介護者に出来ることはしてもらうという介護の中でも非常に重要なキーワードです。

要介護者の方が、何がどこまで出来るのかを知ることで、介助者の負担も軽減します。また声のかけ方や、環境を整えることで出来ることが増えていく場合もあるので頭の片隅に置いておいてください。

入浴介護をするときの環境整備と活用する道具

安全性を第一に、浴室環境を整えましょう

浴室の安全性は最優先です。浴室環境を整えておくことで、不慮の転倒リスク等を抑えることができます。

浴槽や床は滑りにくくする

まず、浴槽の周りや床が滑りにくいように注意し、手すりの設置や滑り止めマットを活用しましょう。

浴室内の照明は明るくする

また、浴室内の照明を十分に明るくすることで、視界を確保し、転倒やケガのリスクを減らします。

脱衣場と浴室の温度差を縮める

脱衣場と浴室の温度差にも配慮をしましょう。冬場は特に注意が必要です。

入浴介助を安全に進めるための3つの道具

要介護者の状態にもよりますが、在宅介護での入浴において必要となるものは主に以下のものとなります。

手すり

浴槽の縁や壁にしっかりと固定できる手すりを用意しましょう。

要介護者が立ち上がる際や浴槽に入る際に、体を支えるための重要な道具です。

簡単に設置できるタイプもあり、インターネットで購入可能なものもあります。しっかりと取り付けることが重要ですので、設置場所を選ぶ際には十分に注意しましょう。

椅子(シャワーチェア、バスボード)

要介護者が座るための椅子を準備します。

シャワーチェアは、要介護者の状態に応じて選びましょう。キャスター付きで移動が容易なものや、肘掛けが付いているもの座面が柔らかいものなど、様々なタイプがあります。

バスボードは浴槽の縁に使用者が一旦腰掛けられるように、設置する台のことで、使用者の状態や介助のしやすさに合わせて選定します。

滑り止めマット

浴槽内や脱衣所の床に滑り止めマットを敷くことで、転倒リスクを軽減します。

子供用の滑り止めマットを代用することも可能で、柔らかく足触りの良いものを選ぶと快適です。また、毎回の使用後には、しっかりと乾燥させ、清潔を保つことが大切です。

道具は手の届きやすく、使う順番に置くことでスムーズな介助を

シャンプーやリンス、ボディソープ、タオルなどの必需品は、すぐに手が届く場所に揃えておくことが大切です。

介助者が浴室内を移動する頻度を減らすことで、介助の負担を軽減します。また、使用する順番に合わせて配置を工夫することで、流れ作業のようにスムーズに進行できるようにします。

実際の訪問介護の入浴介助においても重要なポイントとされています。体を洗う物は、肌を傷つけないよう泡立ちのいい物を選ぶといいです。

定期的な点検を忘れずに

使用する器具や備品の点検は欠かせません。

手すりや椅子がしっかりと固定されているか、滑り止めマットがずれていないかなど、毎回の入浴前に確認しましょう。定期的な点検とメンテナンスを行うことで、安心して入浴介助を行うことができます。

入浴時の工夫と注意点

介助者の姿勢

介助者が腰を痛めないよう、腰を曲げすぎないようにしましょう。重心は低く、要介護者と重心は近づける、ボディメカニクスを心がけ、介助者、要介護者がお互い安心して入浴が行えるようにしましょう。

介助者自身の健康管理も重要です。無理な姿勢や力の使いすぎは避け、必要であれば二人以上での介助も検討しましょう。

コミュニケーションの重要性

介助中は要介護者に今何をしているか、次に何をしようとしているかを会話の合間などで常に伝えることで、安心してもらえます。

また、会話によって要介護者が協力的な動作を取ってもらえ残存機能を活用できることがあります。介助者の負担減にも繋がりますので、会話を心がけながら要介護者にも協力してもらえるように導きましょう。

体調確認と水温の調整

入浴前後には必ず要介護者の体調を確認しましょう。

体調が優れない場合は、温かいタオルで体を拭くなどの代替手段を用いることもあります。水温は高齢になると温度を感じにくくなるため、熱すぎると危険です。39〜40℃のぬるめの湯が適温とされています。また、入浴時間も短めにし、体温が上がりすぎないよう注意しましょう。

シャワーなどで体にお湯をかける際は、湯温確認も兼ねて心臓から遠い場所からかけていくようにしましょう。急に心臓付近にかけてしまうと、刺激で体調を崩される場合があります。

外傷確認

入浴時は全身を確認する良い機会でもあります。ケガや異常がないか、入念にチェックしましょう。

まとめ

入浴介助は、ご家族にとっても介助者にとっても大きな負担となることがありますが、少しの知識と適切な準備、工夫により、安全で快適な入浴にすることが可能です。
無理をせず、専門家(ケアマネージャーなど)に相談しながら、適切な方法を見つけてください。

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この記事を書いた人

株式会社新生銀行にてProject Managerとしてシステムの開発・運用・企画・IT戦略を担当。M365やBYOD、社内Wi-Fiを活用したDX環境整備、MDM/MAM/MIM、EDR、UCaaS/VCS、IDaaS、HIC、BPR/BPO、RPA領域等の多数プロジェクトを推進。取締役会直下の専担組織でグループ全体の中計策定と推進に従事。独立後、2社を立ち上げ、現在はWebマーケティングとITコンサルティングを主軸とする株式会社Giving Firstの代表取締役に就任。

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