高齢者の方は、「最近、便が出にくい」「以前より排便の回数が減った」と感じることがあっても、年齢のせいと考えて見過ごされてしまうことも少なくありません。しかし、便秘は加齢による影響だけでなく、食事内容や生活習慣の変化が関係している場合も多くあります。
本コラムでは、高齢者が便秘になりやすい原因と、食事や生活習慣で無理なく取り入れられる対策について解説します。
便秘とは?

便秘の原因や症状は様々ですが、日本内科学会では「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」とされています。便秘を放置すると、お腹の張りや不快感が生じ、生活の質の低下につながることもあります。特に高齢者では、これが食欲低下につながるケースが多くみられます。
食事量の減少は栄養状態の低下や筋肉量の低下を招くため、日々の食事内容を見直し、便通を整えることが大切です。
高齢者が便秘になりやすい理由
高齢者の便秘には、いくつかの要因が重なっています。
- 腸の動き(蠕動運動)の低下
- 食事量の減少による便の量の減少
- 水分摂取量の低下
- 噛む力の低下 → 食物繊維摂取の減少など
これらが重なることで、便秘が起こりやすくなります。
食事でできる便秘対策
① 食物繊維を意識して摂る
食物繊維は、便秘対策の基本となる栄養素です。食物繊維には大きく分けて「水溶性」と「不溶性」の2種類があり、それぞれ働きが異なるため、両方をバランスよく摂ることが大切です。

水に溶けやすい食物繊維のため、便をやわらかくして排出しやすくします。また、腸内の善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える働きもあります。

水分を吸収して便の量を増やし、腸を刺激して排便を促します。
急に食物繊維の摂取量を増やすと、お腹の張りを感じやすくなる可能性があるため、少しずつ増やしましょう。
② 発酵食品を取り入れる
発酵食品は、腸内環境を整えるうえで重要な役割を持っています。腸内には善玉菌・悪玉菌・日和見菌が存在しており、そのバランスが崩れると便秘が起こりやすくなる場合があります。発酵食品には、善玉菌の働きを助ける成分が含まれており、腸の動きを活発にする効果が期待できます。

ヨーグルト+きなこなど、発酵食品と食物繊維を組み合わせることで腸内環境を整えやすくなります。
③ 水分を意識して摂る
体内の水分が不足すると、便が硬くなり、スムーズに排出されにくくなります。特に高齢者は、のどの渇きを感じにくくなるため、気づかないうちに水分不足になっていることがあります。
■ 水分摂取のポイント
- 1日を通してこまめに水分をとる(目安:1日1,000~1,500mL程度※個人差あり)
- 起床時にコップ1杯の水を飲むことで、腸の動きを促す
- 食事中や食後にも意識して水分を補給する

生活習慣の改善ポイント
食事だけでなく日々の生活習慣も便秘の改善に関係しています。
■ 生活習慣で意識するポイント
- 毎日同じ時間にトイレに座る習慣をつける
- 散歩や軽い体操を毎日取り入れる
- 座りっぱなしの時間を減らす
食事と生活習慣の両方を整えることが大切です。できることから少しずつ取り入れていきましょう。

まとめ
便秘は高齢者に多くみられる身近な悩みですが、食事や生活習慣の見直しによって改善が期待できることもあります。また、食物繊維や水分をしっかりと摂り、腸内環境を整えることは、日々の体調管理にもつながります。
「最近、便が出にくい」「食欲が落ちている」と感じたときは、早めに食事・生活習慣を見直すことが大切です。また、症状が続く場合は医療機関へ相談することも検討しましょう。

