「足のむくみ」その原因と対策は?訪問看護師が解説!

はじめまして。訪問看護師の松本です。

在宅介護の現場では、患者さんやご家族から「足がむくんでいる」という相談を受けることがよくあります。

足のむくみは単なる不快感にとどまらず、全身状態や基礎疾患を反映する重要なサインである場合があります。

本記事では、訪問看護師の視点から、足のむくみの原因やその対策について詳しく解説します。

もくじ

足のむくみの原因は?

むくみ(浮腫)は、体内の余分な水分が組織にたまることで、手足や顔が腫れたように見える状態を指します。

特に足に多いのは、重力の影響で水分が下半身に集まりやすいためです。

むくみは、①生活習慣によるむくみと⓶病気が原因となるむくみに大別されます。

生活習慣によるむくみ

むくみは一時的であることが多く、長時間の立ち仕事や座りっぱなしの姿勢が原因になります。その他、過度の塩分摂取、飲酒や運動不足によっても生じます。

病気によるむくみ

心臓、腎臓、肝臓の疾患を有する場合には、むくみが生じることがあります。

心臓病や腎臓病

心臓の機能が低下したり、水分を排出する腎臓の機能が悪くなったりすると、全身に水分が溜まりやすくなり、最初に足がむくむようになります。

足のむくみを放置しておくと、体の中の水分が増え、段々と血管が豊富な肺に水が溜まるようになります。

肺に水がたまってしまうと(「肺水腫」や「胸水」といいます)、息切れを自覚して、動けなくなってしまいますので、早めの段階で、塩分や水分制限、利尿剤などのお薬を内服して頂く必要があります。

このため私達、訪問看護師は、むくみを見たら、心不全の初期症状ではないかを考えます。

心臓病をお持ちの方は、体重測定やむくみの確認を行い、初期症状を見落とさないようにしていきましょう。

肝臓病

血管の中に水を保持する力は、肝臓で作られるアルブミンをはじめとする体の栄養素がつかさどっています。

肝臓病や低栄養の方では、血管内に水を貯留する力が弱くなるため、血管から水がしみだし、むくみが生じやすくなります。

静脈瘤・深部静脈血栓症

血流の流れが悪くなることで、足にむくみや痛みが生じることがあります。特に片側だけにむくみが見られる場合は、血栓症を疑います。

静脈瘤によるむくみには、弾性ストッキングの着用が効果的です。

在宅でできるむくみ対策

むくみの原因を特定することが最優先ですが、日常生活の中で実践できる対策も重要です。

以下は一般的な対応策です。

足の挙上

椅子やベッドで足を心臓より高い位置に上げることで、重力を利用して血流を促します。特に、夕方のむくみに効果的です。

軽い運動やストレッチ

足首を上下に動かしたり、ふくらはぎを軽くマッサージしたりすることで、血流が改善します。

弾性ストッキングの使用

静脈の血流を改善するための医療用弾性ストッキングは、むくみ軽減に効果的です。

ただし、装着の際には締め付けすぎに注意が必要です。

塩分と水分の適切な管理

食事での塩分摂取を控えることで、むくみを予防できます。また、腎機能が低下していない場合は、適度な水分摂取も大切です。

冷却や温熱療法

むくみがある部分を冷やしたり温めたりすることで、一時的に症状を緩和することができます。ただし、感覚障害がある患者さんでは、やけどや凍傷に注意が必要です。

足がむくんでしまったら

足がむくんでしまったら、慌てず、左右差、時間帯、色や温度の変化など、むくみを観察しましょう。

また前述の通り、足の挙上やマッサージを行います。

むくみは、足に水分が溜まっている状態ですので、万が一傷をつけてしまうと、感染などの2次的合併症を引き起こす可能性があります。

下肢を清潔に保ち、保湿を行ないながら優しく足の指からふくらはぎを愛でるようにするマッサージをしていきましょう。

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この記事を書いた人

2009年、看護師免許取得。
基幹病院(循環器内科・血液内科・外科、等)で経験を積み、2015年に呼吸療法認定士の資格を取得。2020年から訪問看護師として、地域で在宅医療・介護支援を行っている。

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