少ない食事で効率良く栄養を摂るには?おすすめの食材や美味しい食べ方を管理栄養士が解説!

加齢とともに食が細くなり、食べたいのだけれど食べられない。。。

管理栄養士として栄養指導を行っていると、そんなお悩みを抱える方が多いことに気付かされます。

本日は、食事にまつわる様々な視点から、少量の食事でも効率よく栄養を確保する方法をご紹介します。

もくじ

食べたいけれど食べられない。その原因とは?

食べたいのに食べられない。。そんな相談を受けた時、管理栄養士は、まずは原因を考えます。

人によって原因は様々で、

  • 加齢により、買い物に行くのが大変で、食材を調達することができない」
  • 「手術や抗がん剤、等、病気の治療の影響で食欲が低下してしまった」
  • 「飲み込む力がなくなり(嚥下機能が低下し)、今まで普通に食べていた物が食べられなくなった」

それぞれの原因に対して、アプローチが変わってくるので、食べたいけれど食べられない原因を特定するため、まずは状況を確認します。

食べたいけど食べられない原因

食べたいけれど食べられない。。そんな時はまず、本人のもとに食事が届けられる環境があるかを考えます。

食事が届く環境がない場合は介護保険サービスを利用する

食事をするためには、そもそも食材(弁当)を買いに行き、家で料理する必要があります。病気やケガで食材を買いに行けない、一人暮らしで家で料理ができない、等の理由で食事が届く環境がない場合には、介護保険のサービスを利用して、ヘルパーさんに買い物や料理の介助をしてもらいましょう。

食事が届くけど、食欲がない場合は主治医に相談する

食事が届く環境があっても、食欲がない場合、主治医に相談し、「治療によって食欲が戻る病気の可能性がないか」を確認してもらいます。治療ができる病気がある場合には、治療を優先します。

原因が分からない、治らない病気が進行するときは「むせがないか」を確認する

一方、「原因が分からない」もしくは「治らない病気が進行する」ことにより食が細くなっている場合には、「食事の際のむせがないか」を確認します。

むせがある場合には、むせ込みの程度を確認します。

その程度は患者さんによって異なっており、好きな物はむせずに食べられるが、ご飯やパン等の主食がむせてしまう方、水がむせるが流動食や固形物はむせずに食べられる方、何を食べても常にむせてしまうという方まで様々です。嚥下に関するコラムはも参考にしてください。

食べたいけれど食べられない。とるべき対策は?

①エネルギーとたんぱく質を確保する

嚥下機能の低下や食欲不振で通常の食事量を確保できない場合、その状態が継続すると低栄養が進行してしまいます。

少量の食事から効率良くエネルギー・たんぱく質を補うことを意識します。

エネルギーが摂れる食べ物

1回の食事量が少ないときは、「間食」を取り入れエネルギーを確保しましょう。

食品例/1食当たりエネルギーたんぱく質
肉まん218kcal9g
蒸しパン235kcal6.5g
プリン116kcal5.7g
羊かん173kcal2.3g

たんぱく質が摂れる食べ物

たんぱく質と聞くと、肉や魚というイメージが強いかと思いますが、卵や乳製品や大豆製品も良質なたんぱく質を含む食材です。料理に積極的に取り入れるよう意識しましょう。

食品例/1食当たりエネルギーたんぱく質
肉まん218kcal9g
蒸しパン235kcal6.5g
プリン116kcal5.7g
羊かん173kcal2.3g

②一手間加えて食べやすい食事の形態にする

食欲がない時は嚥下しやすい(飲み込みやすい)調理の工夫をし、食べる意欲を引き出すことがポイントです。下記のような工夫によって、胃に優しく、効率よくエネルギーを補うことが可能になります。

例)

  • やわらかく蒸す、煮る
  • 繊維の多い野菜や肉は繊維質を断ち切るように切る
  • 水分はとろみをつける
  • 一口サイズにして指でつまんで口に運べるように小さくまとめる

③食事の回数を増やす

一度に食べられる量が少ない場合、1日3回の食事にこだわる必要はありません。

少量を4~6回に分ける「少量頻回食」を意識することで、無理なく食事量を確保することができます。

早めに夕食を済ませる為、就寝前に小腹が空く場合は、なるべく消化の良いプリンやヨーグルトなどがおすすめです。

④味や見た目の工夫

年をとると、唾液の分泌量が減少することによって、味覚が鈍くなることがあります。

スパイスや出汁など香りや旨味を感じやすい食品を使うと、食欲を刺激します。

色鮮やかな食材や季節感のある盛り付けをする事で目でも楽しむことができ食欲を引き出します。

⑤食事環境の改善

食卓の環境を整える事で、安心して食事をすることができます。特に大切なのは、適切な高さのテーブルや椅子を用意することです。体勢が安定し咀嚼や飲み込みもスムーズになります。

また食卓の明るさでも食べ物の見え方も違ってくるので、照明の調整も必要です。

⑥補助食品や栄養補助飲料の活用

市販の栄養補助飲料や高カロリーのゼリーを活用し、栄養強化食品(例えば、高たんぱくヨーグルトや高たんぱくドリンク)を食事に加えます

これらの工夫を必要に応じて組み合わせ、一人ひとりの状況に合った対策を取り、低栄養を予防することが大切です。

食べたいけれど食べられないときのおすすめレシピを紹介

手軽に調理できて、効率よく栄養が摂れるおススメのレシピ2品を紹介します!

チーズオムレツ

豆腐入り卵中華粥

まとめ

自宅にある食材やスーパーで購入できる商品を活用することで、簡単に栄養を摂ることができます。手作りにこだわらず、市販品も上手く活用しながら食事を楽しみましょう。

参考文献

・日本食品標準成分表2020年版(八訂)(文部科学省)

・ニュートリションケア第12巻6号(メディカ出版)

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この記事を書いた人

2012年、管理栄養士免許取得。
病院、透析クリニック、等で経験を積み、2021年在宅訪問管理栄養士の資格を取得。現在、フリーランスに転身し、在宅での訪問栄養食事指導の他、企業やクリニックで生活習慣病を含めた慢性疾患に対する栄養相談・指導も行っている。

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