歯と栄養の関係 ~噛む力から見直す健康づくり~

最近、食べにくいものが増えた、硬いものを避けるようになったと感じることはありませんか。
こうした変化は、加齢によるものと考えられがちですが、実は歯や噛む力(咀嚼機能)の低下が関係していることも少なくありません。
本コラムでは、歯と栄養の関係を理解しながら、日常生活でできる食事の工夫や、歯の健康を守るための工夫についてご紹介します。

もくじ

歯と栄養の関係とは?

歯で食べ物を噛ことは、栄養素の吸収の第一段階として重要な役割を担っています。
食べ物をしっかり噛むことで、次のような働きがあります。

  • 食材を細かくする
  • 唾液と混ざり消化を助ける
  • 飲み込みやすくする

また、よく噛むことで唾液の分泌が促され、口の中の環境を良好に保つことにもつながります。

どんな人に影響が出やすいの?

噛む力の低下は、次のような方に起こりやすいとされています。

  • 高齢の方
  • 歯や歯ぐきに痛みがある方(歯周病・虫歯)
  • 口の乾燥がある方
  • 歯の本数が少ない方、入れ歯を使用している方

また、加齢により、唾液の分泌や味覚が変化することも関係します。

噛む力が低下すると起こること

噛む力が低下すると、食事内容や栄養バランスに影響が出てきます。

  • 硬い食品(肉・野菜など)を避けるようになる
  • やわらかい炭水化物中心の食事に偏る
  • 食事量が減る

その結果、以下のような状態につながり、低栄養やフレイルのリスクが高まることがあります。

  • たんぱく質不足
  • ビタミン不足
  • 筋力低下(サルコペニア)

歯に良い食べ物・気をつけたい食べ物

日々の食事内容も、歯の健康を保つために重要です。

歯に良い食べ物

  • よく噛む食品【根菜、海藻、キノコ類】:噛む回数が増え、唾液分泌を促す
  • たんぱく質を含む食品【肉、魚、卵、大豆製品】:歯や歯ぐきの健康維持
  • カルシウムを含む食品【乳製品(牛乳・スキムミルク)、小魚(こいわし、雑魚)】:歯や骨を丈夫にする
  • ビタミンDを含む食品【卵、鮭、キノコ類】:ビタミンDはカルシウムの吸収を助けます

気をつけたい食べ物

  • 糖分の多い食品(お菓子、ジュース):虫歯の原因になりやすい
  • 粘着性のある食品(飴、キャラメルなど):歯に付着しやすい

食後の歯のセルフケア

食後のセルフケアは、歯や口の健康を守るうえでとても重要です。食事の後に適切なケアを行うことで、虫歯や歯周病の予防につながり、噛む力の維持にも役立ちます。

食後はできるだけ早めに歯みがきを行う:歯の表面に付着した食べかすを取り除くことで、虫歯や歯周病の予防につながります。

就寝前の歯みがきを丁寧に行う:就寝中は唾液の分泌が減るため、細菌が増えやすくなります。特に夜の歯みがきは丁寧に行うことが大切です。

歯間ブラシやデンタルフロスを活用する:歯と歯の間は歯ブラシだけでは汚れが残りやすいため、補助的な清掃用具を取り入れると効果的です。

入れ歯のケア:入れ歯を使用している場合は、毎日の洗浄や定期的な調整を行い、清潔な状態を保つことが大切です。

自治体で受けられる歯科健診

各自治体では、口腔の健康を守るための取り組みが行われています。
例えば、東京都の目黒区では、成人を対象とした成人歯科健康診査を実施しており、歯や歯ぐきの状態のチェック、歯周病予防の指導などを受けることができます(※対象となる年齢の方のみ)。

まとめ

歯の健康は、食べやすさだけでなく健康状態にも関わっています。日々の食事の中で、歯に良い食べ物を意識して取り入れることや、食後のセルフケアを習慣づけることが、口腔環境の維持につながります。
また、食べにくい、噛みにくいものが増えたと感じた場合は、早めに歯科医療機関で相談することも重要です。毎日の食事とケアを大切にしながら、ご自身の歯の健康を守っていきましょう。

参考: ※日本歯科医師会 健康長寿社会に寄与する歯科医療・口腔保健のエビデンス
https://www.jda.or.jp/pdf/ebm2015Ja.pdf

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この記事を書いた人

2012年、管理栄養士免許取得。
病院、透析クリニック、等で経験を積み、2021年在宅訪問管理栄養士の資格を取得。現在、フリーランスに転身し、在宅での訪問栄養食事指導の他、企業やクリニックで生活習慣病を含めた慢性疾患に対する栄養相談・指導も行っている。

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