褥瘡(じょくそう)予防のための栄養管理

高齢者や在宅療養中の方では、寝ている時間が長くなったり、食事量が減ったりすることで「褥瘡(じょくそう)」ができやすくなることがあります。

褥瘡の予防というと、体位変換やスキンケアを思い浮かべる方も多いですが、皮膚や筋肉の状態を保つためには、毎日の食事や栄養状態を整えることも大切です。

本コラムでは、褥瘡と栄養の関係や、予防のために意識したい食事のポイントについてご紹介します。

在宅で家族と食卓を囲む高齢の女性
もくじ

褥瘡(じょくそう)とは?

褥瘡(じょくそう)とは、一般的に「床ずれ」とも呼ばれ、同じ姿勢で長時間過ごすことで、皮膚やその下の組織が圧迫されて血流が悪くなり、皮膚などが傷ついた状態をいいます。

特に、寝たきりの方や自分で寝返りを打つことが難しい方では、お尻やかかと、腰など、骨が出っ張っている部分にできやすくなります。

褥瘡は、長時間同じ場所に圧力がかかることだけでなく、皮膚の状態や活動量、栄養状態など、さまざまな要因が関係して起こります。

高齢者が褥瘡になりやすい理由

褥瘡になりやすい理由:活動量の低下、皮膚の変化、食事量の減少や低栄養

主な要因には、次のようなものがあります。

  • 活動量の低下: 寝たきりや車いすで過ごす時間が長く、自分で寝返りや姿勢を変えることが難しくなると、同じ場所に長時間圧力がかかりやすくなります。
  • 皮膚の変化: 加齢とともに皮膚は薄く、乾燥しやすくなります。そのため、圧迫や摩擦などの刺激によって皮膚が傷つきやすくなります。
  • 食事量の減少や低栄養: 食欲の低下や噛む力・飲み込む力の低下などにより食事量が減ると、エネルギーやたんぱく質などが不足し、筋肉量を保つことが難しくなります。

褥瘡と低栄養の関係

このように、高齢者の褥瘡は一つの原因だけでなく、さまざまな要因が重なって起こります。なかでも栄養状態は褥瘡の予防や治癒に深く関わるため、毎日の食事を整えることが大切です。

※低栄養についてのコラムはこちら

褥瘡予防のための食事のポイント

① エネルギーを確保する

エネルギーを確保する:1日3食を基本に、主食をしっかり、間食もおすすめ

褥瘡予防では、まず毎日の食事から必要なエネルギーを確保することが大切です。エネルギーが不足すると、体は筋肉や脂肪を分解してエネルギーを補おうとするため、体重や筋肉量の減少につながります。

1日3食を基本に、エネルギーの元となる、ご飯・パン・麺類などの主食もしっかり摂りましょう。食事量が少ない方は、3食だけで必要な量を摂ろうとせず、間食を取り入れることもおすすめです。

※エネルギーを確保する方法についてのコラムはこちら

② たんぱく質を毎食取り入れる

たんぱく質を毎食取り入れる:肉、魚、卵、大豆製品、乳製品

たんぱく質は、皮膚や筋肉など体をつくる材料となる大切な栄養素です。不足すると筋肉量が減少するだけでなく、傷ついた皮膚や組織の修復にも影響します。

肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などを、できるだけ毎食取り入れることを意識しましょう。食事量が少ない場合には、卵や豆腐、ヨーグルトなど、少量でも食べやすい食品を活用するのも一つの方法です。

※たんぱく質についてのコラムはこちら

③ ビタミン・ミネラルを補う

亜鉛を多く含む食品:牛肉、豚レバー、鶏肉、卵、チーズ、大豆製品、ナッツ類

皮膚の健康を保ち、傷ついた組織を修復するためには、ビタミンやミネラルを補うことも必要です。なかでも「亜鉛」は、皮膚の新陳代謝や傷の修復に関わる大切な栄養素です。

■ 亜鉛を多く含む食品

  • 牛肉
  • 豚レバー
  • 鶏肉
  • 卵
  • チーズ
  • 大豆製品(豆腐・納豆など)
  • ナッツ類

※亜鉛だけを多く摂れば褥瘡が予防・改善できるわけではありません。また、すでに褥瘡がある方では、亜鉛欠乏の有無や褥瘡の状態によって栄養管理が変わるため、サプリメントなどで自己判断して補充するのではなく、医師や管理栄養士に相談しましょう。

まとめ

褥瘡は、できてから対応するだけでなく、日頃から予防を意識することが大切です。特に在宅療養中の方では、体調の変化に伴って食事量や体重が少しずつ減っていることもあります。

「以前より食べる量が減った」「体重が減ってきた」といった変化は、栄養状態を見直すサインのひとつです。ご本人だけでなく、ご家族や介護をする方も普段の食事量や体重の変化に目を向けてみましょう。

気になる変化がある場合や、すでに褥瘡がみられる場合には、早めに医師や看護師などの専門職へ相談し、その方の身体状況や生活環境に合わせたケアにつなげていくことが大切です。

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この記事を書いた人

2012年、管理栄養士免許取得。
病院、透析クリニック、等で経験を積み、2021年在宅訪問管理栄養士の資格を取得。現在、フリーランスに転身し、在宅での訪問栄養食事指導の他、企業やクリニックで生活習慣病を含めた慢性疾患に対する栄養相談・指導も行っている。

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